2019.01.10
[小さな暮らしの始め方](後編)「お金があっても不幸な人」はなぜいるのか? 家計簿を色分けして「生き金」の使い方を知ろう
20年来マネーライターをやりながら、つくづく思っているのは、「なぜ、『お金がたくさんあるのに不幸な人』と『お金はさほどなくても幸せな人』がいるのだろう?」ということです。多くのお金のプロたちは、口をそろえて言います。「お金そのものに、幸せは見いだせない」と。それを理解することは、老後の「小さな暮らし」を作っていく際の、大きな助けになりそうです。
「お金のIQ」と「お金のEQ」
7年ほど前、作家の本田健さんに「お金のIQ」「お金のEQ」という概念を教えてもらいました。「お金のIQ」とは、お金の知性のこと。「お金のこと」と言われて、今、みなさんが思い浮かべるようなことは、おそらくこちらに当てはまるでしょう。
一方で、「お金のEQ」はお金に対する感性のことです。しかし、「お金を、感性でとらえる」ということ自体、まだ一般的ではないかもしれませんね。
本田さんと出会った頃の私は、「節約命」の主婦(時々、ライター)でした。本田さんに「もっと広い視野でお金のことを見ていかないと、結局、お金のことは理解できないよ」と言われ、「何のことを言っているんだろう?」と、ポカンとしていたものです。
けれども本田さんに会うたびに少しずつ教えていただき、いつしか、「『お金のIQ』『お金のEQ』の両方をバランスよく育てなければ、お金の不安はなくならないのではないか?」と、考えるようになりました。
そこで私は、お金に関する自分の感性を育て、生かすために、 前回※ お話しした「クッション口座」を作ることにし、それを活用できるようアレンジした家計簿をつけ始めました。
※前回→[小さな暮らしの始め方](前編)節約は3000円以上のレシートチェックから 「クッション口座」を作って家計管理しよう!
「生き金」か「死に金」か 自分の感性で判断
やり方は、簡単です。図のように、まずは3000円以上の支出を一覧表に書き出します。次に、そのなかで、将来に役立つ「生き金」だと感じたものは緑、逆に「死に金」だと感じたものは赤、「必要コスト」だと感じたものには黄色の○をつけます。
ここで大事なことは、自分の心の動きを感じてみること。「一般的に見て『生き金』か『死に金』か」を推測するのではなく、自分自身の心に向き合って、自分で判断するのです。
「お金のおへそ」を見つけて管理を
なぜ、そうすることが必要なのか? それは、「お金のおへそ」を見つけなければ、「お金のこと」をちゃんと考えることができないからです。私は、「お金のことをちゃんとする」の最初の一歩は、「お金を使った時のワクワク感を思い出すことなのではないか?」と、考えています。「アレをしたい」「コレが欲しい」。例えば、「来月は夫の誕生日だから、家族でちょっと奮発した食事に行きたい!」とか「ベッドリネンは、お気に入りのブランドでそろえたい!」といったことは、誰でも経験があるのではないでしょうか。その時の、ワクワクした気持ち。そうした経験のことを、私は「お金のおへそ」と呼んでいます。
こうした自分の「お金のおへそ」を認識しておくと、「お金のことをちゃんとしなきゃ!」ではなく、「やりたいことのために、お金をしっかり管理しよう!」そんな気持ちに自然となっていきます。そうなれば、最近使ったお金が「生き金」なのか、「死に金」なのかも見えてくるものです。また、罪悪感が残るようなお金の使い方も、少なくなるのではないでしょうか。
お金は、本来、私たちを楽しく、豊かな気分にさせてくれるエネルギーです。お金の色分けをして、自分が「生き金」と思ったものこそ、あなたのワクワクの源! 本当に大切だと思うのであれば、お金を使ってもうれしいし、スッキリした気分になります。
自分基準で厳選した「大切なもの」だけに囲まれて生きることこそが、老後に意識したい「小さな暮らし」ではないでしょうか? お金に対しての混乱を少し整理して、一緒に「小さな暮らし」始めませんか?(楢戸ひかる マネーライター)
イラスト:西島秀慎
記事提供:ヨミドクター(読売新聞社)
ヨミドクターは読売新聞社がお届けする医療、健康、介護情報の総合サイトです。
【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します
【40代から備えよう「老後のお金」】余命宣告からの一人暮らし 「FPの母」が76歳で選んだ生き方
【認知症介護あるある~岡崎家の場合~】「おかず、少ないねー」義母の手料理に息子が衝撃の一言
【編集長インタビュー】長谷川博史さん(4)うつ、足切断、救ってくれた「新しい家族」
40代から備えよう「老後のお金」】[小さな暮らしの始め方](前編)節約は3000円以上のレシートチェックから 「クッション口座」を作って家計管理しよう!
提供元:[小さな暮らしの始め方](後編)「お金があっても不幸な人」はなぜいるのか? 家計簿を色分けして「生き金」の使い方を知ろう|ヨミドクター(読売新聞社)」