2018.07.06
【ひまわり一家のお悩み解決道場(3)】 共働きでも油断大敵!明日「夫が突然働けなくなったら」どうなる?
40代にさしかかると、少しずつ体の変化を感じるもの。
一家の大黒柱であるパートナーの健康や、万が一何かあったときの家族の生活を心配している方は少なくないことでしょう。
そんなみなさんと同じように不安を抱えていたのが、ひまわり一家のお母さん。
どうやら、FPの小串惠子さんに、夫が倒れてしまったときのことについて相談することにしたようです。
(母)もしも夫が働けなくなったら、家計はどうなる?
母:小串さん、こんにちは!今日は主人に万が一のことがあって、突然働けなくなってしまったときのことについて相談したくて…そんなときに私たちの生活は、具体的にどうなるのでしょうか?
小串さん:ひまわりさんのご主人は、確か医療保険に加入していましたよね?
父:はい、加入しています。
小串さん:ご主人が病気で倒れてしまったとしても、収入はある程度守られると思います。加入されている医療保険で入院給付金を受けられるでしょうし、ご主人は会社員なので、一定の傷病手当金が支給されますよ。
母:傷病手当金……労災保険の適用外の病気やケガで仕事を3日以上連続して休み、十分な給料を受けられない場合、4日目から1年6カ月間は支給されるものですよね?
小串さん:さすがですね、よくご存じで!では、それをふまえて具体的に考えてみましょうか。
あってはならないことですが、ご主人が心疾患により倒れたとしましょう。なんとか退院したものの、体に障害が残り、仕事を続けられなくなりました。この場合、まずは傷病手当金の支給要件に該当します。
母:傷病手当金っていくらくらいもらえるんでしょうか?
小串さん:一般的な会社員が加入している健康保険では、計算式に従って支給額が決まります。ひまわりさんのご主人の場合、過去1年間の標準報酬月額平均は33万円。一日あたりの支給額の計算式は……
支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額平均 33万円 ÷ 30日 × 2/3
……です。一日あたり7,333円、30日間だとおよそ22万円の支給額になります。これに加えて、入院した日数分は、現在加入している医療保険の日額給付を受けられますね(入院日数に上限がある場合、それを越えた分を除く)。
奥さまの収入も含めてまとめると、以下のようになります。
母:えっ!傷病手当って、今もらっているお給料より結構少なくなってしまうんですね。医療保険からの日額給付はそもそも治療費に必要かもしれないし……我が家の場合、これだけでは足りないです。
(父)妻ひとりで家計を支えられるの?
母:夫が倒れた場合には私がもっと働くなりして、どうにか家計を支えなくちゃいけないのね…。
父:でも僕がいない状況で、今よりも働くことってできるのかな?
小串さん:ご主人の言うとおりなんです。今分担している家事や育児はほぼすべて奥さまがこなさなければなりませんし、ご主人の通院の付き添いが必要になることもあるでしょう。むしろ、今よりも働けなくなる可能性も大きいんです。簡単にですが、奥さまのタイムスケジュールの変化を予想してみましょうか。
母:そんな、今だって毎日疲れてくたくたなのに……。
小串さん:追い打ちをかけるようで心苦しいのですが、奥さまは今パートで働いていますよね?そうすると、おそらく有給以外のサポートは期待できないでしょうから、収入が減る、または失職する可能性も出てきます。ご主人が障害等級の認定を受けた場合、障害基礎年金・障害厚生年金が支給されますが、元気に働いてくれていた頃より世帯収入が下がる覚悟はしておかなければなりません。
父:しかも、家賃の支払いや車のローン、通信費、教育費などの支出はこれまでどおりにかかりつつ、医療費も必要になるんですよね。
小串さん:そうですね。
母:貯蓄を崩したり、家計を見直したりすれば……いや、それでもなんとかするのは難しいわね。いつかはフルタイム勤務に戻ろうと思っていたけれど、万が一のことを考えると、今すぐにでも考えたほうがいいんでしょうか?
小串さん:ご家庭の状況が許すのならば、フルタイム勤務に戻ることも万が一の備えとしては1つの手ですが、収入保障保険を検討するのもおすすめですよ。
父:収入保障保険……ですか?
母:あ、私聞いたことあります!
(母)“もしものときの収入保障”をしてくれる保険があるって本当?
小串さん:収入保障保険は、保険の対象となる被保険者に万が一亡くなった場合に、月ごとに保険金の給付を受けられるものなんですよ。
商品によりますが、特約・オプションとして、病気やケガによって倒れ、障害が残ったときも保障してくれるものもあります。働いていたときと同じくらいの収入があるのは、とても心強いですよね。
父:そんな保険があるんですね!知らなかったな。
母:今まで医療保障と死亡保障ばかり見ていたけど、考えてみる必要がありそうね。
小串さん:そうですね。医療技術の進歩によって、病気やケガをしても亡くなる確率は下がっています。
しかし、長患いや身体障害状態になるリスクについては、しっかりと考えておく必要があるんです。
まずは健康なときと病気やケガを負ったとき、それぞれの世帯収入を把握し、どれくらい備えなければならないのかを考えてみてくださいね。
母:今は主人も私も当たり前のように働いているけれど、いつ病気やケガで働けなくなるかはわからないですよね。万が一のときでも家族の将来を守れるライフプランニングをしなくちゃ!今日はとても勉強になりました。小串さん、ありがとうございました!
小串さん:いえいえ、またいつでも相談してくださいね!
監修者プロフィール
小串惠子
1級ファイナンシャルプランニング技能士として活動。各企業・官公庁・自治体等でのセミナー、テレビ・ラジオ等のコメンテーターとしても活動。ライフプラン、リタイヤメントプラン、リスクマネージメント、金銭教育などに取り組んでいる。