2018.03.23
5分でわかる!予想外の病気やケガ・・・ピンチを救う公的制度
今まで一度も大きな病気やケガをしたことがなく、健康にも気を使っているから…と、自信があればあるほど「突然、病気やケガで入院」と聞いてもピンとこない人は多いはず。
ですが、思わぬ病気にかかったり、自転車で転んで大きなケガをしてしまったりするのは、そもそも予想ができないものです。
もしも、入院で会社を休むことになり、休職扱い(*1)となってお給料がもらえず、貯蓄も頼れなければ、金銭面で困ってしまうこともあるでしょう。
そんな病気やケガの治療で会社を休まなければならなくなったときに利用できる制度があるのをご存じですか?
この公的制度の仕組みをしっかり押さえて、いざという時に慌てないように備えておきましょう。
*1:休職扱いとは、病気ケガの回復を目的として業務免除になる長期休暇のこと。休職制度そのものは法で定められているわけではないので、休職中に給与が支払われるかどうかなどのルールは企業によって異なりますが、無給が一般的です。
病気やケガで4日以上休むとお金がもらえる!対象は?
業務外の病気やケガで会社を長期休むことになり、休職中に会社からお給料が出ない場合、お金をもらえる「傷病手当金」という制度があります。
この制度は、3日間の待期期間を過ぎれば、基本給(標準報酬日額)(*2)の3分の2×休んだ日数相当額を受け取ることができるという制度で、最長1年6カ月まで受け取ることが可能です。
3日間の待期期間は、連続していないと成立しないため、例2のように休みの間に出勤があった場合、前の2日間は支給されないので注意が必要です。
ちなみに、有給休暇を使った場合は傷病手当金を受け取ることはできませんが、待期期間としてはカウントされるので、待期期間分を有給休暇で補う方法もあります。
有給休暇が残っていても傷病手当金を受け取ることはできるので、有給は使わずに傷病手当金を活用しておき、有給は自由な目的で使うということもできるでしょう。
また、この制度は、主に社会保険の加入者である会社員が対象です。国民健康保険に加入している、自営業やフリーランスの人には適用されません。
さらに、自営業やフリーランスの人は有給休暇がありませんので、生活費に余裕がないという人は特に、すぐにお金に困ってしまうかもしれません。
*2:標準報酬日額とは、支給開始日以前の継続した12カ月の各月の標準報酬月額を平均した額を30日で割った金額です。支給開始以前の金額によって異なります。
参考
高い医療費は、お金が戻ってくる!
そして、これまで大きな病気やケガもなく、風邪程度の体調不良でしか病院にかかったことのない人は、原則3割(小学生以上69歳以下)の自己負担なので、それほど大きな額の医療費を支払うイメージはないかもしれません。
でも、大きなケガや病気で、沢山の検査を受け、手術や入院をすることになると、ある程度まとまったお金が必要になってきます。
その医療費の負担が大きい場合は、国が補助してくれる制度があります。
この制度は、医療費1カ月あたりの上限額が決まっていて、それを超える費用を負担しなくてもよいというもの。この制度を「高額療養費制度」と言います。
自己負担額の上限金額は、加入者の所得水準や年齢などによって変わります。上記はあくまでも一例になります
上記は、1か月100万円の医療費がかかった場合に高額療養費制度によって戻ってくるお金の例です。
3割負担の医療費をすべて支払わなくてはならない場合30万円のところを、この制度を利用することにより、21万2570円もどってくるので自己負担は8万7430円で済みます。(*3)
緊急入院ではなく、事前に限度額以上の医療費がかかるとわかっている場合は、「限度額適用認定証」を申請しておき、保険証と併せて病院の窓口へ提出すれば、自己負担限度額を超える支払いをしなくて済むという方法もあります。
ただし、この二つの制度を利用するには、必ず自分自身で申請の手続きが必要になります。「申請した方が良いですよ」と教えてくれる機関もありませんので、申請漏れがないように自分で注意する必要があります。
*3:自己負担額は一例です。高額療養費制度の自己負担限度額は、加入者の所得水準や年齢等によっても変わります。
不安があれば、医療保険での備えもプラス!
このように、公的制度をおさえておけば、突然のケガや病気で入院ということになっても、ある程度自己負担額を減らすことは可能です。
とはいえ、傷病手当金制度の利用期間を超えて働けなくなってしまうという可能性はゼロではありません。
また、高額療養費制度を利用しても、目安として8万円/1カ月程度は自分で負担する必要がありますし、申請をしないと戻ってこないので、一時的にはある程度まとまったお金を支払わなくてはならないこともあります。
そのような場合に備えて、十分な貯蓄ができていない、生活費にあまり余裕がないという人は、民間の医療保険で、自分が安心できる備えを検討してみることもおすすめします。
執筆者プロフィール:酒井富士子(さかいふじこ)
経済ジャーナリスト。(株)回遊舎代表取締役。 日経ホーム出版社(現日経BP社)入社後、「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。その後リクルートに入社。「あるじゃん」「赤すぐ」(赤ちゃんのためにすぐ使う本)副編集長を経て、2003年から経済ジャーナリストとして金融を中心に活動。近著に「60代の得する『働き方』ガイド」(近代セールス社)などがある。
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